ParaViewが選ばれる理由

有償の可視化ソフトウェアとしては、EnSight、FIELDVIEW、Tecplot、AVSなどが知られている。有償ソフトウェアの利点として、商用CAEソフトウェアの出力ファイルの直接読み込みに対応していること、専門スタッフによる技術サポートが受けられることなどが挙げられる。しかし、いずれも1ライセンス当たり年間数十万~100万円以上のコストを要するため、利用者間でライセンスの取り合いが生じたり、同時に複数のデータを処理したい場合にライセンスが不足したりする。また、ソフトウェアによって機能や操作方法、表示結果などに差があり、ユーザが必要としている機能(例: 流体・構造連成モデルの表示など)が必ずしも網羅されているわけではない。

同じく有償ソフトウェアの場合、STAR-CCM+やANSYS FLUENTのように、ソルバ専用のプリポストツールが用意されている場合もある。こちらもライセンス数の制約から取り合いが生じてしまい、計算ジョブとプリポストのライセンスが共通だった場合、すべてのライセンスが計算ジョブで使用されている最中は既存の計算結果が確認できないという事態が生じうる。またソルバの付属ソフトウェアという位置づけゆえ、複雑なポスト処理は困難な場合がある。

無償ソフトウェアに注目すると、ParaView同様VTKをベースとした可視化ツールとしてVisItやMayaViなどが知られている。VisItは読み込み可能なデータ形式が充実しているが、OpenFOAMやANSYS FLUENT形式のデータの直接読み込みに対応していない。MayaViは最新リリースが2005年と古く、メーリングリストも用意されているものの、2012年通年の投稿数が計61件と減少傾向にある。

ParaViewはOpenFOAMの標準可視化ソフトウェアとして採用されている。Salomeと共に提供されているParaVisも、ParaViewをベースに構築された組み込みモジュールである。ParaViewは標準で読み込み可能なデータ形式が充実しているうえ、商用ソフトウェアには搭載されていない機能も利用可能である。コミュニティも活発でありアップデートも定期的に行われているため、今後しばらくの間ParaViewの優位性は揺るがないであろう。

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